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この記事は平広之医師が監修しました
医療法人社団豊饒会理事長・RDクリニック東京銀座 院長
形成外科学会専門医
1987年筑波大学医学専門学群卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部付属八王子病院 形成外科医長を経て、2023年医療法人社団豊饒会理事長・RDクリニック東京銀座 院長に就任。
皮膚とは
皮膚とは、体の表面をおおっている層のことです。ヒトの皮膚は肌とも呼ばれます。
皮膚は3つの層から成り立っている
皮膚は表面から「表皮」「真皮」「皮下組織(皮下脂肪層とも言う)」の3つの層から成り立っています。
表皮
皮膚は大きく3つの層から成り立っていますが、最も外側に位置する「表皮」も、実はいくつかの層からできています。
表皮の構造
表皮の構造を、表面(外側)から順に見ていきましょう。
角質層(かくしつそう)
角質層は、分裂によって下層から押し上げられた角化細胞が最後にたどり着く層です。すでに細胞核が失われた状態の、つまり死んだ細胞が15~40層ほど積み重なっています。
角質層の表面は、“汗”と“皮脂”がほどよく混ざった「皮脂膜」で覆われ、外的刺激から皮膚を守っています。
顆粒層(かりゅうそう)
顆粒層も外的刺激から皮膚を守る働きをしています。
顆粒層は1層もしくは数層しかない薄い層ですが、細胞が平べったい形をしており、「ケラトヒアリン顆粒」というタンパク質の粒を多く含んでいることが特徴です。ケラトヒアリン顆粒は光を屈折させ反射させることができるため、紫外線が肌の奥に入るのを和らげる働きがあると言われています。
有棘層(ゆうきょくそう)
有棘層は表皮の大部分を占める、5~10層ほどの層です。
基底層(きていそう)
基底層は表皮の最も奥にあり真皮と接合する、基底細胞1層のみでできた、波打った層です。
ケラチノサイト(角化細胞)
細胞分裂によって、基底層で日々作り出されるのがケラチノサイト(角化細胞)です。ケラチノサイトは、後から生まれた細胞に押し上げられて徐々に肌の表面へ向かって移動し、最終的に角質層の表面まで到達し、自然にはがれ落ちていきます。この一連の流れを角化もしくはターンオーバーと呼んでいます。
真皮
真皮は表皮の内側にあり、皮膚組織の大部分を占めています。皮膚の本体、と言っても良いでしょう。
真皮層の構造
真皮の大部分を占めるのは「コラーゲン」という線維状のタンパク質です。コラーゲンを支えるように位置しているのが「エラスチン」という線維状のタンパク質です。コラーゲン線維は伸びたり縮んだりせず、引っ張りに強いです。その一方、エラスチンは弾力性に富んでおり、力を外すと元に戻る性質があります。こういった特徴から、コラーゲン線維は“ハリ”を、エラスチンは“弾力”を維持しているといえます。
そしてコラーゲン繊維の隙間を満たし、肌のハリを守っているのが、なんと1gで約6ℓもの水分を保持できる「ヒアルロン酸」です。
これらの「コラーゲン」「エラスチン」「ヒアルロン酸」を生み出す細胞が、同じく皮膚の真皮にある「真皮線維芽細胞」です。
また、真皮には、血管やリンパ管、汗腺なども存在します。
皮下組織(皮下脂肪層)
皮下組織(皮下脂肪層)は、皮膚の最も内側にあり、真皮と表皮を支えている組織です。皮下組織の大部分は「皮下脂肪」です。皮下脂肪の間に動脈や静脈といった血管が通り、皮膚組織から老廃物を運び出したり、栄養を届けています。
皮下脂肪というと「ぜい肉」のような、良くないものというイメージを持つ方もいますが、クッションのような役割で外部からの衝撃を和らげたり、エネルギーを蓄えたり、断熱・保温の働きをするなど、身体を守る役割を担っています。